記事一覧

ツムラの柴陥湯

ツムラにしかない漢方薬は多い。漢方エキス製剤にはツムラしか発売していないものが多い。ツムラにしかない漢方エキス製剤の一つが柴陥湯です。きっとあまり売れていないと思います。柴陥湯は小柴胡湯の加減法です。小柴胡湯というと患者さんからやめてくれとか大丈夫かと言われた時代がありました。肝炎イコール小柴胡湯の時代は終わりました。風邪に使うと小柴胡湯は魔法の薬でした。わたくしが結核療養所で働いていたとき小柴胡湯を結核患者さんに使う臨床試験がなされていました。結果は分かりませんが今振り返るとなかなか厳しいと思います。中医学でいう陰虚の典型例が慢性化した結核です。黄㬎は冷やして乾かす薬です。陰虚は明らかに悪化します。柴陥湯は小柴胡湯に瓜呂仁と黄連を加えた処方です胆が切れにくい咳に使うとされています。千福先生はCVAつまり咳喘息に柴陥湯を用いて効果があったと日本東洋医学会総会で報告しています。柴陥湯のカギは瓜呂仁と千福先生は考えたそうです。瓜呂仁はステロイドのような作用があるそうです。柴陥湯は黄連と黄芩が入る連剤であり、柴胡剤でもあります。柴胡も黄連、黄芩もすべて冷やすとともに乾かせる薬です。CVAになぜ柴陥湯かと思いますが発想が素晴らしいと思います。痰が絡めば燥性の生薬が多用されているのもわかります。今日、千福先生に質問させていただきました。

お屠蘇

お屠蘇気分で有名なお屠蘇は漢方薬です。お屠蘇と言ってもわからない人が増えた今日この頃です。お屠蘇に入っている生薬は会社により違うようです。松浦薬業さんのものには陳皮、おけらこと白朮、桔梗、浜防風、山椒、桂皮だそうです。松浦薬業さんの屠蘇散は300mlのお酒に一晩つけます。更に元旦の朝家族そろってのみ、家族の健康・幸せを祈ります。お屠蘇は正月の薬酒です。「迎えた一年家族に大病・大過がないように、笑顔で今年も迎えられるように」の願いがこもったものです。わたくしの実家の寺院でも檀家さんにお配りしています。飲酒ですので未成年者は舐めるくらいでしょうか?三国志の時代の中国の名医華佗が作った処方とされています。正月のために創られたものではありません。そのあと各所で違う処方が作られました。「蘇という鬼を体外へ追い出し屠るための薬」です。家族のみならず近隣の方の健康を願ってお屠蘇を飲むそうです。