不妊治療が43歳という年齢制限はあるが保険適応になる時代です。中医学では不妊治療のお話は時々ありますが日本漢方で不妊治療の講演会は久しぶりです。平成の初期に鹿児島から寺師睦宗小太郎漢方製薬でもTUMURAでもシリーズで講演されている谷川先生のお話でした。小太郎漢方製薬の講演は薬剤師の認定シール付きなので視聴者はとても多いようです。不妊症のお話でした。「頑張る女性をサポートする漢方処方サポート」(南山堂)からの引用のようです。大阪で谷川先生のお話を聞いたときに漢方単独でも不妊治療に成功してというお話をなさっていました。特別な処方はないそうです。シリーズが長く続いていてテーマがいよいよ不妊症の治療になったそうです。方剤的には当帰芍薬散・加味逍遙散・桂枝茯苓丸・温経湯でした。今の時代私的には一番熱心に漢方診療を受けてくださるのは不妊治療中で挙児希望それも第一子希望の方です、昔はせんじ薬といえばアトピー性皮膚炎や難病化高齢者といわれていましたが今はせんじ薬といえば不妊治療の方です。ストレスの多いことこの上ない方には加味逍遙散が良いそうです。加味逍遙散には山梔子が入っているので特発性腸間膜静脈硬化症(MP)が5年以上の長期服用では心配ですが途中休んだら話はまた異なるようです。富山におられたながた先生(現諏訪中央病院)が調査して5000gを超えると加味逍遙散一日量では満量で2グラムなので6.8年以上の連続投与にMPのRISKがあるそうです。大黄は入っていませんが便秘型IBSにも使う。日本漢方では気逆つまり冷えのぼせやお血に用います。当帰・せんきゅうは虚証の人に用いる。当帰芍薬散は高齢者の心不全のも有効だそうです。心臓弁膜症に保険適応を有する。高齢者は栄養状態が悪くBNPも当帰芍薬散で下がるそうです。温経湯は方意でいうと芎帰膠艾湯・呉茱萸湯・麦門冬湯・桂枝茯苓丸・温経湯・四物湯などの方意がある。温経湯は寺沢先生の書物では少陽病だそうです。月経不順には実は桃核承気湯・桂枝茯苓丸・加味逍遙散、虚は当帰芍薬散・温経湯。有名なお話ですが桃仁・牡丹皮は流産リスクがあるとされる。お血を改ぜんする桃仁牡丹皮仁ですが桃仁牡丹皮両方入っているのは桂枝茯苓丸、大黄牡丹皮湯・腸よう湯です。両方入っているのは意外と少ない。桃仁は桃核承気湯、牡丹皮には清熱作用が加わるそうです。は温経湯・加味逍遙散・当帰芍薬散はいずれも入っていません。日本漢方では桂枝茯苓丸は気逆とお血とおっしゃってました。当帰は帰経は肝ですがまさに変えるべしで有名です。谷川先生は肝血虚に有効ということはリラックスに役立つ生薬といわれました。当帰芍薬散は瘀血というよりも血虚水毒の方剤といわれました。私も東京で中国人中医師の楊敏先生が妊娠したらどんな未知の副作用・作用があるかわからないから当帰芍薬散であってもやめましょうと言われて守っています。ただつわりに小半夏茯苓湯は処方しています。桃仁・牡丹皮両方含まれる方剤は少ない。温経湯は黄体機能不全・排卵障害。初診で漢方単独は6か月をめどに行っておられるそうで高齢初産が多い今の時代ですから40歳以上の方には八味地黄丸など補腎剤を用いることが増えているそうです。